先天異常

先天的な骨の変形など

形成外科

頭蓋の変形

骨は固いものですが、骨の形成異常により線維性組織と呼ばれる骨よりも柔らかい組織が骨にできてしまう疾患を線維性骨異型性症(Fibrousdysplasia)といいます。 成長の遅いものは定期的な経過観察でよいのですが、成長が早いと外見を変形させるだけでなく脳を圧迫していくため、手術により病変部を取り除く必要があります。 これは腫瘍のため取り残しがあると再発する可能性もあり、正常部分を含めて完全に切除した後で、骨がなくなってしまった頭蓋骨部分の再建が望まれます。 再建には自分の骨(自家骨)やチタンやハイドロキシアパタイトといった骨(人工骨)を用います。 フォン・レックリングハウゼン症候群皮膚のシミと神経線維腫という皮膚の腫瘍を主症状とする疾患は、フォン・レックリングハウゼン症候群といわれます。 頭蓋骨に病変が及ぶことがあり、外見の変形をきたすために線維性骨異形成症と同様に病変部の切除と、欠損部分の再建が望まれます。 やはり再建には自分の骨、チタンやハイドロキシアパタイトといった骨を用います。 また脳腫瘍などがんの切除手術の際には、再発を予防する目的で頭蓋骨の一部を切除することがありますし、交通事故などの事故で頭蓋骨や顔の骨が大きく変形してしまうこともあります。 こうした変形は脳に対する保護が失われ、見た目を大きく変えてしまいます。そこで変形した頭蓋、顔貌の再建のため形成手術を行うケースもあります。

顔面骨の変形

顔面骨の変形には顔面非対称や顎変形があり、顎顔面骨の形態異常に伴う変形や噛み合わせ異常(咬合不全)は顎顔面骨の形態を改善すると同時に、 矯正歯科医と協力して正しい咬合(かみ合わせ)を獲得できるようにする体制も必要です。 その場合は患者の通院しやすい認定施設を紹介して、医師同士が相互に連絡を取り合いながら手術・治療を行うことになります。 唇顎口蓋裂に伴う顎変形は、乳児期の手術のあと成長に伴って歯並びや咬合の治療を矯正歯科とともに行います。 顎裂部(歯槽部分の骨・歯牙欠損)に対し、外科的治療によって骨欠損を修復したのち、歯並びを改善するため歯を誘導する矯正治療が行われます。 また唇顎口蓋裂に伴う上顎の低形成とこれによる反対咬合などは、外科的治療と歯科矯正治療により咬合および整容面の双方の改善を図ります。 骨の変形が治っても、歯の噛み合せが悪いと健康な身体にはなれません。

眼球陥凹・眼球突出など

眼球陥凹とは眼が奥に引っ込んでしまった状態のことで、ボクサーが眼を殴られた時に眼の周りの骨が折れることで起きたり、日常生活でも眼の付近を強くぶつけてしまった場合に起こります。 逆に眼が飛び出た状態はで眼球突出で、生まれつきや甲状腺の病気の際になる場合があります。 これらの原因は眼の周りの骨にあるため、その骨に手を加えることで眼の突出・陥凹状態を治します。 トリーチャーコリンズ症候群、ピエールロバン症候群など下顎の低形成を示す小顎症の疾患では、顎の発育不全による呼吸障害、摂取障害を認めることがあります。 このような症状がある場合には下顎骨の延長治療を早期に計画して、口腔容積の拡大を図ります。また症状に応じて整容的改善を目的とした治療も行われます。