眼下の形成外科

眼球が収まる頭蓋骨の空間

形成外科

眼のまわりの骨折

眼のまわりの骨折には眼窩底骨折、眼窩内側壁骨折、眼窩上壁骨折、顔面多発骨折に伴うものなどがあります。 眼窩底骨折でよくあるケースは、スポーツで眼球にボールが当たったり、肘や膝が当たったりして眼球を支えている薄い骨(眼窩底)が骨折してしまうような場合でしょう。 症状として複視、眼球陥凹、頬部や上唇のしびれを生じます。小児で高度な眼球運動障害を認める場合は早期の手術が望ましいでしょう。手術は主に2つの種類があります。 1つ目は骨折部に陥没した眼窩内容(主に脂肪組織)をもとの位置に戻し、骨欠損が生じた場合、骨・軟骨移植あるいは人工物(人工骨などの人工材料)を移植して眼窩底を修復する方法です。 2つ目は眼窩底の下の空間に当たる上顎洞の中に風船のように膨らむ物(上顎洞バルーン)を鼻から入れ、1ヶ月ほど留置しておく方法です。 内視鏡を併用して顔面には一切傷をつけないで整復することができます。

眼球突出

眼球突出には甲状腺眼症、バセドウ病眼症などがあり、片眼もしくは両眼が前方に飛び出た状態です。 原因としては甲状腺機能亢進症に伴うものが多いのですが、腫瘍の圧迫によるもの、炎症性の線維組織が非腫瘍性のかたまりを作った状態の炎症性偽腫瘍、先天性の頭蓋変形に伴って生じるものなどがあります。 また動脈と静脈が異常な交通をしてしまう奇形、動静脈奇形が眼球の後方にある場合は、拍動性眼球突出といい眼球が前に押し出され心拍に合わせて脈打つ状態になることもあります。 治療法としては、甲状腺機能亢進症に伴う場合は眼窩脂肪の切除や眼窩を構成する骨に穴をあけて眼球の突出量を調節し、状況により内視鏡による手術を併用することもあります。 切開線は結膜内になるので傷跡はほとんどと目立ちません。腫瘍の場合は基本的に腫瘍切除術で、炎症性偽腫瘍によるものの場合はステロイド薬の内服が効果的なことがあります。 兎眼症状があれば基本的に保険治療が可能です。

義眼床形成

外傷や悪性腫瘍などが原因で眼球の摘出を余儀なくされることもありますが、患者は視機能の喪失という問題だけでなく、整容面でも大きな損失を負うことになります。 失われた視機能を元に戻すことは難しいですが、眼の代わりとなる義眼を装着することで整容面でのハンディキャップを軽くすることはできます。この義眼を入れるスペースを作成するのが義眼床形成です。 義眼床形成は大きく3段階に手術が分かれます。最初に義眼の土台となる組織の充填、狭義の義眼床形成術を行います。 必要な組織の量に応じて血管柄付き遊離複合組織移植術、側頭筋膜移植術、真皮脂肪移植術、外側眼窩皮弁移植術、アクリルボール移植術などを行います。 状況に応じ複数の手術を組み合わせて十分な組織を移植することにより、なるべく左右対象の眼窩形態の土台を形成することを目標としています。 次に義眼を実際に挿入するためのポケットの作成、結膜嚢形成術を行います。このポケットは術後に狭くなりやすく、それが義眼が落ちてしまう原因 になっています。そして最終的な仕上げによる微調整です。